作曲家・五十嵐真理さんへのインタビュー 第一週

2009年3月5日 in インタビュー,

ノタの森の原動力の一つには、経験を後世に伝えていくことは先人の経験を享受している者の責務という考えがあります。その一つとして、特にこれから音楽を仕事にしようと考えている人たちへ向けて、音楽制作の現場で働くプロフェッショナルへのインタビューの短期連載を始めます。今回は経験豊かな作曲家である五十嵐真理さんに協力をお願いし、彼に4つの質問を投げかけその回答をまとめました。毎週1問ずつ掲載していきます。現場で働いている人の生の声を楽しんでください!

五十嵐真理五十嵐 真理 いがらし まこと
作曲家
{略歴}

1965年(東京オリンピックの翌年)北海道生まれ。高校卒業後、青山レコーディングスクールにて作編曲を専攻。小田裕一郎、尾関裕司、岡野智光、桜井優典らに師事。音楽関係の仕事を探すことを全くせずに地元で家業の運送屋を手伝いつつアマチュアバンド活動に精を出す。バンド仲間が地元の音楽制作会社に就職し、そのコネで同社に潜り込む(去年末に同社を退社)。長年にわたりテレビ・ラジオのCM音楽、舞台音楽、ダンスチームの音楽、ゲーム音楽など凄まじい数の作編曲をこなし、現在に至る。

ホームページ:音楽制作 五十嵐真理のホヲムペエジ ブログ:五十嵐真理のBootRock"

{作品}

CM音楽(のぼりべつクマ牧場、日専連札幌、ぎょれん/ホタテ、全自動パワー融雪機モンスター、アップル車検など)
ゲーム音楽(天地無用 魅御理温泉湯けむりの旅 [SS]、カルドセプトSAGA [XBOX360]、ファミリートレーナー [Wii]、江戸川乱歩の怪人二十面相DS [Nintendo DS]など)
その他多数。

質問1.五十嵐さんなりの仕事での音楽制作のこだわりや心がけは?
たり前の事だけど、締め切りを守る事。

僕は非常にだらしのない人間なので、締め切りがないと仕事が出来ません。「いつまででも良い」は「無くても構わない」に限りなく同義で、極論で言うと「特に必要は無い」ものなのだと思います。「必要の無い物」の為に頑張って作るよりも、必要とされる物を作りたいですよね。

「この日の何時までに必要」と言われると、そこで。その設計図通りに最終形が出来るとは限りませんが、

1)作品を仕上げるまでの道順をイメージする、
2)作れている自分をイメージする、
3)作品を聴いた人のリアクションをイメージする、

これが大事だと思います。

実は、この原稿はこの時点で1度提出した原稿に
チェックをしてもらって、手直しをしています。
原稿を書く事も「制作の一つ」であるし、
これが今後の作品作りにプラスになる、
と言うイメージが出来ているし、
手直しも(なるべく)楽しくやろうとしています。

最初の原稿は自分の思った通りに
まっすぐに書きましたが、それを他者
(今回は企画担当者のYASUさんです)に
読んでもらって、客観的に何が欠けているのかを
指摘してもらう。仕事によっては納得のいく指摘もあれば、
「そんな無茶な」と思えるような指摘もある。
しかし、これは 目指すゴールをブレさせない 為の、
とても大事なポイントだ。ここで妥協をすると
大抵は不幸な結果になってしまう。
立ち止まってみる事も大切なのです。

原稿を手直しするにあたって、今回の企画担当者からの指摘は「読者のみなさんがより理解しやすいように、作業の具体例をあげてみましょう」だったので、実際に「今回の作業」を具体例にする事にしたのです。(昔の仕事の具体例を挙げようとしても、脳が退化しているから記憶が怪しいし...)ちょっとしたイタズラ心でもありますが、こういう

    「遊び心」は物を作る上ではとても大切

だと思います。車のハンドルも「アソビ」があるからこそ、運転しやすいのですからね。
(あ、「アソビ」と言えば、僕がサウンド制作に参加したニンテンドーDS用ソフト『Wi-Fi対応 世界のだれでもアソビ大全』は好評発売中です!)

ライブの写真

「そこにある全てが資料や先生になりうる」と言う事。「作れない時」は放っておくといつまでも作れません。作れるようにしてあげないと。そこにCDが1枚あるだけでも十分です。CDには何かのヒントが必ず隠されています。それが良い物である場合もあれば、反面教師になる場合もあります。

とにかく自分の中の  を開ける事です。


資料がCDじゃなくても良い。ちょっと具体的にすると例えば、TVを観る。CMなんかは繰り返し見ているわけで、BGMやナレーションや頭の中に入っている事も多いはず。その蓄積がヒントになる事もある。逆の発想もあります(じつはこっちの方が大切かも)。今度は、TVの音量を0にしてみる。映像を見ただけではBGMやナレーションが思い浮かばないCMが出てくるとそれはピンチじゃなくチャンス!自分なりのBGMを新たにイメージしてやる事が出来るのだから。自分だったらこの映像にはこんな音楽を作る という具体的なイメージの扉が開けてくるはず(訓練が必要かもしれませんが......)。映像からインスピレーションを得る可能性はとても高い。

そう考えると、旅も良い。色々な風景を見る、感じる事が出来るから。
でも、そんなにしょっちゅうは行けないですよね。
ならば!
散歩で良い。身近な風景にだって感じ入る事は多い。
見過ごしていたものを発見出来るかもしれない。
我が家から西区図書館や北風公園へはほんの5分だけど、
四季の彩りは、その時その時で別の情景を見せてくれる。
「通り慣れた道」と感じるかどうかは、見方次第と言う事。
でもこの事を

むずかしく考える事は無い。

感じれば良いのです。

何より散歩は「気分転換」になるし。

後にもう一つ。

1分で出来る事は1分でやる。時間に余裕が有ると、2分かけてしまいがちですが、それが自分の判断力を衰えさせます。1分で出来る事を1分でやるようにして、それが身に付けばそのうち1分かかっていた事が50秒で出来るようになったりします。

時間をかけて「アイディアを発展させる」のはとても良い事ですが、時間が「アイディアを停滞させている」に過ぎない事もあります。「下手な考え休むに似たり」ですね。

アイディアを捨てる勇気も必要になってきます。古いアイディアに固執して、新しいアイディアの可能性を捨てるよりも、思い切って捨てたら良い。これは これからの自分を信じる 事にもつながるので精神力も養われると思います。

「迷った時」には、以上の事を思い出すようにしています。

第一週目のインタビューはこれで終わりです。来週は 『質問2.五十嵐さんが感じる仕事ならではの楽しみとは?』 を掲載します。お楽しみに!

インタビュー企画担当/西尾康成

本人写真4枚 (c) 五十嵐真理
第一週.五十嵐さんなりの仕事での音楽制作のこだわりや心がけは?
第二週.五十嵐さんが感じる仕事ならではの楽しみとは?
第三週.五十嵐さんが思う日本の音楽業界の好きな面と嫌いな面は?
第四週.五十嵐さんにとって音楽とは?
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