ウインドジャマーの作り方

2011年1月4日 in ハウツー, 機材,

フィールドレコーディングの際、風がマイクを吹いた時のボボボボボという雑音が入ってしまうのを防ぐために使うウインドジャマーを作りました。ガンマイク用みたいに巨大なウインドジャマーでなければ、100円均一ショップ等で手軽に手に入る材料を使って簡単に自作することができます。

材料

  • 網カゴ×1個…網棚等にひっかけて使うステンレス製のカゴ。
  • パウダー用パフ×6個
  • 洗濯バサミ×1個
  • ビニールタイ×1本…ビニールの芯に細い針金が入っている物。
  • スポンジ×1個
自作ウインドジャマーの材料

全て100円均一ショップで手に入る物です。必要な工具は、ハサミ、縫い針、縫い糸だけです。


作り方 【骨組み】

網カゴに洗濯バサミをビニールタイを使って固定します。

網カゴと洗濯バサミをビニールタイで固定

洗濯バサミでマイクを挟んだ時に、マイクが網カゴの中心に来る様に洗濯バサミの位置を決めます。

網カゴと洗濯バサミの支点を一箇所、網カゴと洗濯バサミの輪を二箇所、合計三箇所で固定します。


網カゴにスポンジをビニールタイを使って固定します。

網カゴとスポンジをビニールタイで固定

食器洗い用のスポンジを半分に切り、一つずつ固定して二段重ねにします。

マイクをスポンジに当てて、マイクの自重でマイクが網カゴの中心に位置するようにスポンジを調節します。



作り方 【生地】

パフの生地を縫い合わせる

パウダー用パフを分解します。物によりますが、今回使用したのは両面ともモファモファしたファー生地でしたので、一個のパフから円形の生地を二枚取る事が出来ました。

写真のように円筒状になるように縫い合わせていきます。縫い目の飛び出た部分がマイクに接触しないように丁寧に切り取ります。


生地の淵は毛がポロポロと抜け落ちていってしまうため、それをを防ぐために、織り込んで縫いこむか別の布をあてがって縫いつけます。

生地の淵を縫いこむ

ここでは、帯状の薄い布でファー生地を挟むようにして縫い付けています。


この円筒状に縫う工程は結構手間が掛かるので、それが嫌な場合は大きな生地を調達して加工します。また生地の材質によってウインドジャマーの効果が変わるので、付け替え用としていろいろ用意すると面白いと思います。


先に作った網カゴに円筒状に縫った生地を被せれば出来上がり。

自作ウインドジャマー

備考

マイクに装着すると写真のようになります。ウインドジャマー自体の重さで先が垂れ下がってしまうのをスポンジで支えているため、マイクがしっかりと筒の中央に固定されます。洗濯バサミが強力だとなお良いです。

自作ウインドジャマーの装着図
輪ゴムで補強

洗濯バサミの挟む力が弱い場合は、輪ゴム等で洗濯バサミの先の部分を縛って補強するのもアリです。



効果検証

今回作ったジャマーの効果を試すために、何も着けずに録ったノーマルな音、市販のスポンジ状のジャマーを着けて録った音、今回自作したジャマーを着けて録った音、以上の三つを用意しました。録音対象物は水道の蛇口から流れ落ちる水の音です。マイクとの距離は約1.8m。

ノーマル
市販のスポンジ製ジャマー
ノーマル録音との比較イメージ(市販スポンジ製ジャマー)
ノーマル音との比較イメージ
自作ジャマー
ノーマル録音との比較イメージ(自作ファー製ジャマー)
ノーマル音との比較イメージ

※検証時の音は44.1kHz/16bitです。ここでの音はmp3なので分かり難いです。
※録音に使用したマイクは上の写真の黒いマイクとは異なります。
※個人の聴感上の感想とイメージ図です。

市販のスポンジ製ジャマーは、ノーマルの音に比べて全体的に約2dB下がり、中高域5kHzから20kHzにかけて約10dB減衰していくため、普通にこもった感じです。

自作ジャマーは、ノーマルの音に比べて全体的に約5dB下がり、中高域の減衰はスポンジ製ジャマーと同じぐらいですが、筒状になっている分マイクの背後から回り込んでくる低音が減少しているためか中低域5kHzから20Hzにかけて約3dB減衰していくため、スポンジ製ジャマーよりも全体的に音量が小さくなりつつも低中高域のバランスが違う為、明るく軽い感じの音になりました。

風を遮断する力は、市販のスポンジ製ジャマーより自作のファー製ジャマーの方が上でした。


総括

以前自作したポップガードのように、ノーマルで録った時に近い感じが出せるものを作りたかったのですが、まず材料集めの段階でパフを見た瞬間に毛が短くて不安がよぎり、分解して触ってみたら予想以上にぶ厚かったので期待薄になった経緯はありますが、効果を検証して分かったように、これはこれで特性があるジャマーだったので結果的に作って良かったといったところです。

そんなに風が強いところでフィールドレコーディングしなければならないことはあまりないので、この自作ファー製ジャマーの出番は少なそうですが、この生地の変わりにストッキングを被せた場合はとても優秀なウインドジャマーになるので、そちらは常に携帯しています。

理想としてはマイクから半径10cm程度の距離を保てる球体のウインドジャマーを作りたいのですが、今のところなかなか良い材料が見つかりません。安く手軽に入手でき簡単に加工できる材料探しが今後の課題です。

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